 「ターミナルケア、準備編」 ------------------------------------------------------
先ず、ホームヘルパー１級講座では「最期の清拭」まで習いますがこれ
を任されるのは稀有です。理由は死亡判断は法律上、医師が行うことそ
して医師は清拭の実施を看護士とホームヘルパーのどっちを選ぶかとい
えば前者です。ここからも察しのとおり、先ずはターミナルケアのメン
バーになったら身の程を知り、わきまえて下さい。対象の方には、訪問
サービスだけで診療、看護、入浴、介護とあります。ケアマネージャー
や主治医、サービス提供責任者だけでなく、役所のケース・ワーカー、
民生委員も顔を出すことがあります。多くのサービス、多くの人の中の
一員である以上自分に課せられた役目、立場をこなすだけでいいのです
。 とかくターミナルケアの経験を自慢したり、参加したことを自慢す
る人がいますがその人のした事はふたを開けたら居室掃除、調理と話し
相手だったことが多々あります。利用者は普通の生活環境で終末を迎え
たいのです。その気持ちを汲み取る会話はヘルパーにしかできません
複数の事業所が絡むターミナルケアですが、自分以外は大いなる味方で
あり敵でもあります。こと他事業所の仕事は、きびしい目でみられます
。ここでの決まり文句ですが、先ず「貴方は貴方のケアに専念して下さ
い」。そしていつもと違うのは「貴方の前後の時間帯に入るサービスに
気を配って下さい。」これは、朝にホームヘルパーが洗濯ものを干して
いってたら、夕方自分が入るときに取り込むことと変わりないです。ま
たそういったことは「連絡帳」に引継ぎで書かれていることがあります
。自分の所属する事業所の記録の他に「連絡帳」に必ず目を通して下さ
い。困った時の対処方法が「連絡帳」に過去記載されていることは多い
です。事業所に一報もいいですが、利用者は事静かに日々送りたいので
す。その意向は汲み取ってあげましょう。
禁止事項を一つあげます。先ず「医療行為はしないで下さい。」。でも
現実によくある例をだします。 連絡帳に看護士からヘルパーさんへ「
おむつ交換の際はビンの中から黄色に染まったガーゼを一枚、床ずれた
ある箇所にあてて下さい。」と書いてありました。この場合の対処方法
は先ず、指示どおりに行って下さい。次に連絡帳と自分のケア記録に「
看護士の○○さんの指示で～しました。」と明記して下さい。そしてそ
れが初めてであれば事の経緯を事業所に報告して下さい。次回までに事
業所からの判断を仰いでおいて「そのとおりやれ」とあればやって下さ
い、「ガーゼはあてないでね。」といわれたらあてないで、今度は自分
の事業所の担当者の名前をだして「うちの▲▲さんの指示でガーゼはあ
てていません。」と連絡帳に書いて下さい。
こういった医療行為を明記しないでヘルパーにさせるグレーゾーンなこ
とはターミナルケア以外でもあります。理由はケアプランの特徴で看護
士さんに払うお金でヘルパーさんが倍ケアに携われることを悪用したも
のです。でも貴方が事業所の代表でないかぎり看護、医療の担当者を非
難することは野暮です。実は、記録と報告をうけた時点から事業所が「
事業所の名前をもって」判断を仰ぎに該当部門へ連絡してるからです。
前述のガーゼの件だと先方が「うちの看護士が勇み足で云々」と詫びる
場合や家族から「ヘルパーさんがしたことには一切の責務を問いません
。」と一筆書かせるまで事態の収拾方法は色々あって、事の結果を待つ
のが一番の自分を守れる方法です。
でも折角なら大いなる味方になってもらいたいですよね。連絡帳をよく
読みましょう。看護士が、医師が何を目的で関わっているを知りましょ
う。そしてそれを有効活用することです。また例をあげますね。食事介
助の後どうやっても服薬して下さらなかった、夕方には看護士さんが薬
のチェックでくる。自分は次の介護にいかなければいけない。この場合
は自分の事業所の記録には「服薬されなかった」と書き、同様に連絡帳
に看護士さん宛に「～な理由で服薬されませんでした、お知らせ致しま
す。」と書きます。もしかすると毎日必要でない薬かもしれないしその
逆の場合もあります。連絡帳をみた看護士はしかるべく行動をして連絡
帳にヘルパーさんへの伝言を残してくれます。例えば「最初に薬の服用
を確認して下さい」「最初に水をスプーンにとってそこに薬をおき口に
もっていってみて下さい。」とかです。ここで忘れてはいけないのは、
折角教えて下さったのだから連絡帳にお礼の一文を添えて下さい。顔を
合わすことのないやりとりですが貴方の謙虚な対応で信用されることは
おおいにあります。逆に礼の一つもなかったら「教えてやったのに」と
今後に尾を引く事態、下手をすればヘルパー交替、事業所ごと交替の憂
き目をみます。残念ですがプライドについては医師＞看護士＞ヘルパー
の現在です。 最初に身の程をわきまえて下さいと書いたのはこういっ
た順番を知らずに相手を非難したり、連絡帳の中で喧嘩したりというの
が現存しててその度に事業所の代表が走り、謝っているからです。
さて、ずっと訪問介護で書いてますが施設介護でもターミナルケアはあ
ります。施設ならではの注意点は「シフトで全体の流れを読む」ことで
す。自分はターミナルケアに入った人の担当なのか、通常のフロア担当
なのか、では今日のターミナルケアに入った人には誰がつくのか、何人
でどれだけのスペースをカバーするのか、看護士は今日は誰で時間外の
連絡先は誰か、云々。特定者に一対一でつく人をケアの応援に呼んでは
呼ばれた方が困ります。逆に自分がターミナルケアの担当でついてると
きに応援が欲しくてフロア担当の人を引きずりこんだら、そのフロアは
誰がみるのでしょうか？。急変はご入居の方みんなに可能性があります
。繰り返しになりますが一日のシフトで自分に求められること、全体の
流れを読みましょう。不測の事態では保護課の課長を、施設長を応援に
呼んでも施設全体への影響を考えれば悪いことではありません。しかし
入浴スタッフから一人ターミナルケアの応援に抜いたが為、入浴介助が
遅れて夕食の時間がずれた利用者がでたなんて、わかっていても結構、
現場ではやっています。あと、応援に呼ぶのも社員かパート（アルバイ
ト）かで後で事務所で一騒ぎもよくあります。不測の残業でもできない
事情もっているパートさんだって施設で働いています。入りたてでつい
お願いしてしまったら「先日はわからないまま呼んでしまってすみませ
んでした。」の一言くらい言っておきましょう。その一言があるかない
かで人は人肌脱ぐかやめるか決めてしまうものです。でもこれも業務先
行して確執までに発展することはままにあるんです。少なくともこれを
読んだ方々は同じ轍を踏まないで下さいね。
以上でターミナルケアに入る、心の準備は出来たと思います。自然体で
終末を迎えたい御本人、迎えさせたい御家族の意向に少しでもそえれば
それでよし、ほんとうはそれ位でいいんです。でも技術面でのポカミス
はだめですよ。次回は「ターミナルケア、実施編」になります。予定し
てた介護サービスをするときの「初回訪問について」はその次になりま
す。 このコーナーもカバーする範囲に限りがないですが、個別に深く
しりたい場合はネット検索すると、今回だとはじまりから終りまでの日
々のケアの記録を掲載したページやブログを見つけられます。
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