「概論:フィリピン介護士」
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実は介護を職業にする人はヘルパー講座をうけた人の約2割 といわれ、現場では中途退社が相次ぎ人手不足が絶えません (主な理由は給与の低さです)。そこで年々増えている外国 人労働者を介護の現場に活用出来ないかという話になりまし た。そこで、資格の必要としない仕事内容で、実験として外 国人を介護の現場に投入し福祉の専門家による検討が始まり ました。こと国を上げて日本の介護士の不足対策に前向きな フィリピン政府については、中間報告があり日本語の講習な ど事前に研修所が必要であると発表されました。

ところが、フィリピン人のなかで介護の基礎さえ知らない人 までが就労している現状になりました。それは現在の賃金で も文句をいわない、実務はOJTで対応出来るだろうという 受け入れ側(こと管理職)の判断の甘さです。それと、彼等 の来日の目的は収入を実家へ送金することです。これは各自 の貧困対策であり、仕事が介護職だろうと水商売だろうと関 係ないのです。政府レベルでは日本での人員不足に対応する と申し出ていますが、個人レベルでは安心して稼げる先が出 来ただけのことです。

そこに「私がヘルパー講習で施設実習していた老人ホーム」 が目をつけました。彼等を夜勤担当にして日勤に日本人を増 やすという手段にでたのです。それは「実験」という名目で 黙認されてました。 私の実習は日勤のみだったので、他の 施設よりも個別対応が多いなぁと当事の私は感心しながら不 自然さを感じてました。ところが夕食の時間が夜勤と日勤の 両方で対応する施設だったのでフィリピンの方を現場でみる ことができました。
ところが、利用者からの反応は、「あいつは、何もわからな いんだよ。」「あいつは手が汚れる仕事のために雇われたん だよ。」となぜか不評です。在宅介護の話で幾度かとりあげ てますが、利用者の価値観は明治・大正そして戦前の昭和な のです。簡単にいうと「フィリピン人は日本人より劣ってる 。」という認識なのです。だから利用者が寝ている時間帯で の労働に勤務していたり、隠れて下働きしてるのです。
こと施設介護では「郷は郷に従え。」の風習が残っています 。私は、フィリピン介護士の投入は時期尚早だと思います。

一つは「士」がついている以上、国家資格並の技量と経験が あることが前提です。(※介護福祉士は国家資格でホームヘ ルパー○級は公的な民用資格です。)日本の郷に習えば3年 の実務経験が前提です。この段階では、彼等は該当しません 。それでも国家資格とみなすなら、私ら日本人はフィリピン に行ってその国家資格というものをとった方が全然楽ですし 、費用だってかかりません。

通常、施設では日勤でそこのやり方を覚えてから夜勤を習得 することになっています。1フロワー平均2〜3名で夜勤を 担当するので一人頭に換算すると約20〜40名の利用者を担 当します。その内の誰かが体調急変をおこしたら職員への負 担は増加し応援が最悪、早番になってしまうこともあります 。緊急対応の手順、応援に来た人へのお願い等もOJTで対 応出来るわけがありません。朝食抜きになる利用者もでてく るでしょう。こと特別養護老人ホームは在宅では介護できな い人が増加傾向にありますから利用者本人から要望を言う事 ができません。朝のオムツ交換まで放置状態もありえます。

施設介護では特例のないかぎり残業はしないのが鉄則です( サービス残業はありますが)。自分達の仕事を時間内に終え るのは当たり前。出来なかったと最後の申し送りで言って、 冷たい目でみられるのがおちです。ましてやり遂げなかった 理由を説明できないのであれば、いっそう職場環境も悪化さ せてしまいます。また、閉ざされた環境では、意外にコミュ ニケーションが介護の技量より大事です。出来ないなら教わ る、応援を呼べる人間環境が大事です。中にはお局さんもい ます。片言の言葉で誠意をみせても、残念ですが通じません。

こういった諸問題を抱えつつも人手不足を原因にフィリピン 介護士の投入はより多くなっているのが現状です。年金問題 ではないですが、現場と管理の間での認識外れな施設がある からです。

私が施設実習でいった特別養護老人ホームは事業の認可は取 り消しになりました。企業が買い取るか、区立なので文○区 が日本人の介護職員の確保にでるかの対応をとり再度、事業 の認可を申請するかたちになります。コム○ンは最大手だか ら一般のニュースになっただけのこと。私がサービス提供責 任者をしていた訪問介護事業所だって事務員は所長が通うス ナックの外国人で事業認可の申請をして通ったのです。どこ だって突けば、ボロがでます。利用者が路頭に迷うよりまし だと言い訳して今日にいたっているのが実状です。


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